共同代表あいさつ
無実であるのに乳幼児への虐待を疑われ、刑事訴追されて有罪判決を言い渡される事件が相次いでいるのではないか。この背景にあるSBS/AHT仮説は、その科学的根拠が不十分なのではないか。このような問題意識から、私たちは2017年にSBS検証プロジェクトを設立しました。
活動を開始した翌年以降、私たちがかかわった13の事件について無罪判決が言い渡されました。99%を超える有罪率で知られる日本の刑事裁判で、これだけ多くの無罪判決が、ひとつの類型の事件で言い渡されていることは異例のことです。このことは、2018年までに有罪判決を言い渡されたSBS/AHT事件の中に、相当程度のえん罪事例が含まれていることを示唆しています。もちろん私たちは、乳幼児に対する虐待がありえない、と主張しているわけではありません。しかし、SBS/AHT仮説は、虐待と判断する医学的根拠に乏しいと考えざるを得ません。
虐待は許されませんが、えん罪や誤った親子分離も絶対に許されません。誤った訴追や親子分離は、決してチャイルドファーストとは言えませんし、乳幼児にとってかえって大きな不利益を与えることもあるのです。
活動開始以降、私たちはSBS/AHT仮説の問題点を指摘し続けてきました。しかし、司法でも、行政でも、医療現場でも、これまでのSBS/AHT事件の有罪判決を見直したり、SBS/AHT仮説そのものを本格的に再検証したりする大きな動きは出てきていません。それどころか、新たに特定の症状が「虐待によるものだ」と主張する議論が現れ、いまだに訴追され、子どもから引き離される養育者は後を絶ちません。
もし、あなたが無実の罪を着せられそうになっていたり、お子さんから引き離されたりしてしまっているときは、このウェブサイトから私たちにご連絡ください。その他の一般市民の方も、このサイトのコンテンツを読んでいただき、この問題に関心を持ち、問題意識を拡散してください。一刻も早く、日本でもSBS/AHT問題に関する真摯な検証が、ゼロベースで議論されることを願って、私たちは活動を続けていきます。

秋田真志
(弁護士・大阪弁護士会)

笹倉香奈
(甲南大学法学部教授)
