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弁護人になったら

揺さぶられっ子症候群(SBS)による虐待だと疑われた事案を受任した弁護士の方へ

揺さぶられっ子症候群(SBS)について
乳児の頭部に出血等が見られた事例について、虐待の疑いがあるとして、児童相談所及び警察に通報され、養育者が逮捕・起訴される事例が相次ぎました。
これらの訴追は、当プロジェクト発足時には、「揺さぶられっ子症候群(SBS)の三徴候が認められる場合、成人による暴力的な揺さぶりによって生じたと推定して良い」との医学理論(SBS理論)を基礎にしているものが大半でした。この理論に対しては、欧米では強い疑念が呈されており、多くのえん罪事件を生んでいると批判されていました(詳しくは「SBSへの疑問ーSBS(AHT)理論の詳細とその問題点 」をご覧下さい)。実際に、その後、我が国でも多数の無罪判決※リンク?が相次いだことにより、近時はこの理論のみに基づく訴追は減少傾向にあります。
しかし、未だに一定の症状からその原因を「暴力的な揺さぶり」と安易に決めつける医師の意見が存在し、それに基づく訴追が行われています。冤罪の危険は依然として高いのです。

 

SBS事案の訴追と弁護活動
警察及び検察庁は、乳児の医学的症状を根拠に、虐待によるものだと決めつける複数の鑑定書の存在を前提として、立件に至っています。捜査担当者には、これら鑑定書の結論を否定する医学的知識もなく、その意図もありません。彼らは、鑑定意見から立件事例を虐待であり、養育者は虚偽の弁解をしていると信じ込んでいると思われます。したがって、捜査段階において、彼らを説得することはきわめて困難と言わざるを得ません。
 他方、立件された多くの養育者は誠実な市民であり、そのほとんどが捜査機関に抵抗しようという意図を持っておられません。また、乳児が頭部に重篤な障害を負ったことに負い目を感じておられることが多いこと、医学的知識も持ち合わせていないことから、 上記のとおり虐待と信じ切っている捜査官に屈し、あるいは迎合し、不本意な不利益供述ないし自白に至る危険性が高いと言えます(欧米では、同様の事情から、虚偽自白によりえん罪となった事例も報告されています) 。
 以上からすれば、捜査段階では、捜査官らを説得しよう、あるいは理解してもらおうと考えるのでは相当ではなく、被疑者は黙秘権を行使すべきです (「取調べの心がまえ」を参照してください)。
 その際には、依頼者に黙秘権行使の意義を十分に伝えるとともに、その不安を払拭するため、旧来のSBS理論についてはもちろん、近時の医師の意見に対しても、十分な医学的根拠がないとして、近時多くの無罪が出ていることを伝えてあげるべきです。
 また、公判では医学鑑定の信用性が最大の争点となることが避けられません。そして、医学的な意見に対抗するためには、弁護人として、医学知識の習得や資料の収集も含めた相当な準備と医療関係者の協力を得ることが不可欠です。


SBS検証プロジェクトによる弁護活動支援
以上のような観点から、「SBS検証プロジェクト 」では、情報収集や個々の弁護活動の支援を行っています。現在、多くの医療関係者にも連絡を取り、その協力を得るべく、研究会を続けるなどしています。このような活動の結果、SBS検証プロジェクトが関与した事件では、13件で無罪判決が言い渡されています(2025年9月 日現在)。
 当プロジェクトは、現時点で弁護活動に利用可能な資料や情報の提供を行い、SBS問題に取り組む弁護活動を支援してまいります。
 SBS事例を受任された弁護士の方々は、是非ご一報下さい。


連絡先:info@shakenbaby-review.com

SBS検証プロジェクト

共同代表 笹倉香奈 甲南大学法学部
     秋田真志 後藤・しんゆう法律事務所
事務局  川上博之 ゼラス法律事務所

TEL 06-6316-3100 (ゼラス法律事務所)

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